2024.09.19
決算委員会にてR5年度決算の総括質疑を行いました
今決算委員会の党区議団の委員は、宇都宮ゆり議員、野口まさと議員、私、山崎たい子です。党区議団を代表して、総括質疑は山崎たい子が以下の内容で行いました。そのポイントは以下です。いずれも、区民から頂いた切実なご相談や要望にそって組み立てました。以下、質問内容と答弁要旨です。
1、物価高騰の中で、区民のくらしや営業への支援が十分だったかどうか。
2、住民税の納付が困難なく民への丁寧な納付相談はなされたか。
3、会計年度任用職員の賃金や処遇改善が行われたか。
4、介護や障がい福祉などケアに従事する人の確保への支援が十分に行われたか。
5、65歳以上の単身女性、就職氷河期世代の単身女性の生活難が統計や調査で浮き彫りとなった。北区は課題を認識し対応しているか。
質問の1、物価高騰における低・中所得層への支援について
物価高騰や実質賃金の低下の中で、非課税世帯への給付金などの支援だけでなく、低・中所得層への支援も実施してほしいとの声を受けとめ、党区議団は繰り返し、課税世帯の低・中所得層の方、例えば課税標準額200万円以下、北区の納税者でみると約10万人、納税者全体の半分くらいに対し、財政調整基金を活用し、区として給付金を支給するべきだーと提案を重ねてきました。
①令和5年度の当初予算では、令和5年度末の財政調整基金残高は151億円でしたが、最終では214億円となり、当初予算の時との比較で63億円も積み増す結果となりました。会派が提案した課税世帯への支援も財政的に充分可能だったと受けとめています。納税者を含めての給付金支給や生活支援の必要性について、R5年度の区の評価を伺います。(区長答弁、必要な支援は実施した。課税世帯への給付金は考えていない)
②国が、低所得のひとり親世帯、住民税非課税世帯に児童1人5万円、区は児童3人以上の多子世帯に1万円独自支給したことは評価するが、一方、子どものいない世帯や単身者への手立ては不十分だったのではないか。今年度、国が4万円の定額減税を行ったのは、課税者への必要性を無視できなくなったからではないのか。(答弁では、区としても給付金支給の他に、プレミアム付き商品券を拡充するなど対応した)
特定目的基金との関係でみても、令和5年度には、新庁舎建設基金を新たに設置し、施設建設基金から新庁舎建設基金へ180億円の積み替えの他、20億円を積み立て、新庁舎建設基金として200億円としました。その他、施設建設基金に10億円、更には、まちづくり基金に20億円が積み増しされました。まちづくり基金は別として、会派としても、区の施設や庁舎については、資材高騰などの影響もかんがみ、一定の基金積み立てが必要ということは認識しているが、
③特定目的基金に、これだけしっかり積んでもなお、財政調整基金が積み増しされ過去最高になった。財政調整基金は特定目的基金とは性格が違うものであり、もっと、区民の暮らしや制度拡充に活用すべきではないか。(区の答弁要旨。物価高騰にも取り組んだが、想定を超える歳入があり、結果として積み立てができた。他区との比較でも214億円は低い方)
現在、国でも物価高騰下の給付金支給が検討されていたり、東京都の今議会補正予算案では、物価高騰対策として、保育所や特養ホームなどの介護施設、障害者施設などの事業所、医療機関、公衆浴場、運送事業者などの中小事業所などへ、高騰した食材費や光熱費、燃料費に対する支援金を支給する。買い物の支払いでQR コード決済した場合の10%のポイント還元などが盛り込まれています。北区も財政調整基金を活用し、区独自のくらし・営業への支援を拡充すべきと重ねて要望しました。
まちづくり基金については、計画の妥当性も含め、その内容が十分精査され、区民の納得が得られなければならないと考えます。開発優先の基金積み増しではなく、くらしと営業を支えることを最優先にすべきです。
2、納税が困難な方への分割納付・猶予の対応について
育児休暇を取得している区民から、給与が減給となっている中、前年所得で課税された住民税支払い納付書の1回の支払額が高く、北区に電話で相談したが、猶予制度についてはあまり認識がない印象で「はねかえされた」「区長も子育て支援に力を入れると言っていたので改善してほしい」との相談をうけました。
一方、中野区では、HP上でも「納税困難な方の分割納付、猶予などのご相談をお受けしています」との案内が大きく出され、失業や事業廃止の場合、産休・育休の場合、その他の場合と具体に示しながら、納税相談シートも添付されています。
そのシートを活用して、年度内の分割納付や納税猶予の相談を、電話でも、電子申請でもできるよう対応されていました。実績もあげていることお紹介し、北区の改善を以下に求めました。
①北区は、こうした育児休暇を取得されている方への納税相談にどう対応しているのか?基本的な姿勢と令和5年度における分納相談や猶予の実績は。
②北区のHPには、育休・産休中の納付相談の案内は特に記述がありません。その点もふくめ、区民にとって親身な納税相談、納税相談シートの案内、電子申請など改善を求める。
③徴収猶予中は延滞金が、2分の1免除となるものを、区長の判断で、全額免除するよう改善を求める。(区の答弁、基本は分割納付。全体の実績は3691件。猶予制度は3件。災害や生活逼迫など適切に対応。その際、支払担保の提供を求めるためハードル高い。区のHPリニューアルが予定されている。育休についても掲載し、わかりやすい周知を検討する)
3、会計年度任用職員の待遇改善について
北区においては、職員定数の削減、外部化、非正規化など人件費のコストカットにつながる経営改革方針の推進が、官製ワーキングプアを生み出し、失われた30年の1つの背景となっていると指摘。
「公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)」が、9月11日、公務分野で働く、非正規職員の実態調査結果を公表しました。年収は250万円未満が65%と大半で、350万円以上は7%にとどまり、退職した人の4割は雇い止めと不安定雇用の厳しさが浮きぼりになったことを紹介し、以下、順次質問。
①令和5年度、北区の職員数にしめる非正規雇用、会計年度任用職員の割合は。また、その中で女性の割合はどれくらいか。更には、北区の非正規、会計年度任用職員の年収250万円未満の割合はどうか。(区の答弁。R6年4月現在、全体4124人中、会計年度任用職員は1249人と3割。そのうちの86%は女性。年収250万円未満は77%)
保育園、児童館、子どもセンター、学童クラブ、学校など、人を育てるケアの現場の比重が大きいのでは。不安定雇用の改善はジェンダー平等の推進にもなる。改善を求める。
②雇い止め問題について、北区は4回更新、5年まで雇用だが、労働施策総合推進法27条と関連省令では、地方自治体で30人以上の離職者が発生する場合は、新たな仕事をさがしやすくするために、その1カ月以上前に、自治体首長は職業安定所に通知する義務を負っているが、令和5年度北区は対応したか?(令和6年度から実施していると回答)
⑥総務省のマニュアルでは、雇い止めが発生した場合、対象の職員への十分な説明を事前に行い、適切な雇用保障や再就職支援を行なうことが定められている。北区の対応は?(4回の更新までということは、最初に伝えている。再就職支援はとくにしていないが、公募の案内は行っている)
⑦今年6月、人事院は国の機関業務職員おける「3年目公募」ルールを撤廃し、これを受け、総務省も先に述べたマニュアルを改定し、現在は「3年目公募」の記載を削除した。こうした改善を受け、北区でも速やかに会計年度任用職員の5年雇い止め、公募を経ない再度の任用回数の制限を廃止すべきだがどうか。(北区は検討中と回答)
回数制限を設けていない区がすでに3区ある。さらに制限撤廃を検討している区も出てきている。2020年に会計年度任用制度が開始から、来年度がちょうど5年目。安心して働き続けられ、公共サービスの質も確保できる職場とするために、北区も改善をと重ねて求めました。
4、介護事業所などの人材確保について
区内の高齢、障害団体の懇談でも、人の確保が本当に厳しい現状を伺っている。有効求人倍率でみると、全職種は平均が1.29倍、訪問ヘルパーはなんと15.5倍。賃金が全産業に比べて7万円も低い。全国的には人材不足による事業所の閉鎖も増えている。はじめに、
①令和5年度、北区が取り組んだ介護人材確保の取組みと実績についてお答えください。(福祉としごとフェアの開催182名が参加し、21名が就職。中学1~2年生へ介護の魅力を伝える冊子を7000部配布。研修補助。生活援助支援員の講座を実施37名、スキルアップ研修15名受講)
②ヘルパーが選ばれるためには、待遇改善そのものにつながる支援を行う必要ある。他区では、人件費にもあてられるよう事業所の委託費を25%拡充、宿舎借上げ補助や東京都が開始した家賃補助に区独自の上乗せ。3年以上務めた方に年間10万円の奨励金の支給、奨学金の返済支援、研修費の全額補助などを行い人材確保を支援。北区でもこうした支援の実施を求める。(安定運営は介護報酬など国において実施が必要。国のあらたな取り組みを注視していく。各区の取組みは把握している。各法人とも協議し情報共有していく)
国はこの苦境の中、訪問介護の報酬を引き下げ、現場のヘルパーを傷つけた。とんでもない状況。国への改善要請は当然だが、介護を守るため地方自治体が頑張る必要あると重ねて強調しました。
5、区民のくらしの貧困と格差について、ジェンダーの視点から、高齢単身女性、就職氷河期世代の単身女性について
コロナ禍や物価高騰の影響を受け、とりわけ中高年シングル女性からの生活相談は少なくありません。先日は、もうすぐ定年を迎える単身の60代女性から、「仕事を辞めると家賃の支払いが困難になる」とのご相談を受けました。
2021年の厚生労働省による国民生活基礎調査でひとり親世帯の相対的貧困率は44.5%、2人に1人が貧困だが、その厚労省データをもとに、都立大学の阿部彩教授が独自集計し、2024年に65歳以上のひとり暮らし女性の相対的貧困率を調査したところ、44.1%と高齢単身女性も、4割を超えて貧困と深刻な水準であると公表しました。単身の高齢男性は30%とのことで高い数値であるが、男女比でみても、高齢単身女性が14ポイントも高い状況。
①北区における、高齢単身女性の人数や割合はどうなっているか。高齢単身女性についての北区の課題認識や対応をお聞かせください。(北区の高齢者人口は34209人。女性は6割。年金収入が9割。仕事の収入は2割と限定されている。余裕が持てないと認識している)
女性は無年金の方も多い。国民年金も満額でも65000円。日本には最低補償年金制度もない。厳しい現状を受けとめ対応が必要。
40代~50代のいわゆる就職氷河期世代について、2022年、任意団体「わくわくシニアシングルズ」が、立教大学教授の湯澤直美さんの協力を得て、40代以上のシングル女性に対するWEBや郵送によるアンケート調査に取り組み、2345人から回答を得た結果によると、
就労形態は40代で正規職は51%、50代では42%、年収では40代、50代とも200万円未満が3割。また2人に1人は年収300万円未満との結果でした。このように、
②働く女性の半数以上が非正規雇用であり、低収入、不安定雇用。就職氷河期世代の単身女性への支援が進まなければ、この世代が高齢期に入る10年後、20年後、困窮する高齢単身女性が急増することが予想されるが、北区の認識と対応は?(区も就職氷河期世代への支援大切と考えている。アゼリアプランでも明記。就職支援などに取り組んでいる)
総括質疑では以上の課題を共有する質問を行いました。その後の各テーマごとに、事業、支援の内容について質問を重ねていきます。