2025.03.01
子どもの権利にもとづく施策の推進を(代表質問)
2月21日、本会議代表質問で「子どもの権利にもとづく区の施策の推進」について質問しました。
私は先日「社会で子どもの権利を守る意味」と題し、北区子どもの権利委員会副会長の林大介浦和大学准教授の講演を聴講しました。
その中で、子どもの権利条約12条「子どもの意見表明権」は、言葉で表現する側面だけでなく、感じていること、したいと思っていることと捉え、0歳の赤ちゃんでも常に何かを発し伝えている。それを周囲の大人がどれだけくみとり、聞き取ろうとしているか。その積み重ねがなければ、意見にはつながらない。社会の中で、子どもの権利が保障される意味は、人として尊重され、主権者として生きることにつながると強調され、大変感銘を受けました。北区でも今年度、「北区子どもの権利と幸せに関する条例」が施行されました。施策の推進を願い、以下5点伺います。
(1)つは、子どもの権利の普及・啓発や子どもアドボカシーの推進です。
この間、北区ニュースやハンドブック動画での広報、昨日は区民向け講演会も実施されました。
①区民の受けとめなど取り組んでの評価をお聞かせください。更には、子どもの権利に関する図書館での常設展示、保護者をはじめ、子ども達に日々接している保育園や幼稚園、児童館、教育関係者など民間の職員も含め、研修を積極的に進めて頂くよう求めます。
②また、北区で今後運営する児童相談所や一時保護所においても、子ども自身が話したいことを話せる、自己決定について主導権を得られるようエンパワメントし、子どもの側にたって支援するアドボケイトの育成・配置をすすめるよう求めます。
<区の答弁>令和6年4月1日に施行した「北区子どもの権利と幸せに関する条例」につきましては、多様な媒体を活用し、様々な機会を捉えて積極的なPRに努めており、これまでに23回の研修や講座を実施しました。加えて、区内の子どもに係る団体や有志の方々による条例の勉強会が実施されており、条例については着実に浸透してきていると感じております。引き続き、子どもはもとより広い世代の区民への理解が深まるよう、子どもに携わる職員等への研修を含めた周知に取り組んでまいります。
アドボケイトについては、児童相談所の先行設置の自治体に対し、事業の実施状況や内容の調査、区の導入に向けた課題整理を行っている。児童相談所開設時の円滑な導入をめざし検討をすすめる。
(2)つに、こどもの声や要望を具体的な施策へとつなげることです。
北区ではその具体化として、子ども権利委員会を設置し、当事者である中学生11人が子ども委員として参画していることはすばらしいと受けとめています。加えて、
子どもの発達段階に応じ、また、不登校、障害、外国籍、社会的養護など様々な場面で、子どもの意見がくみとられ、子どもが参画できるしくみをつくり、行政施策として予算化して頂きたいと思いますが、北区の取組みをお聞かせください。
<区の答弁>条例施行にあたり、実効性を高め、生きた条例とすることを第一義に考え、区の施策や計画にかかわる子どもからの意見聴取、子ども委員が参加した会議の運営など全庁挙げてとりくんでいる。また、区および学校は、自分で意見がだしずらい子どもの子を聴くよう条例で規定しており、そうした立場で対応するよう意識した取り組みを実践している。引き続き、誰一人取り残さないよう条例にのっとり全庁あげて取り組みをすすめていく。
(3)子どもらしく過ごせる居場所、遊びの場の充実です。
北区の条例制定の過程で、子どもから寄せられた声で多かったのは、ゆっくり休んだり、遊んだり、自由な時間を持つことと聞いています。子どもの権利条約31条です。その遊び場の1つである、
冒険遊び場・北区プレーパークは、中央公園や桐ヶ丘公園、児童遊園でのミニパークなどで開催され、コロナ禍でも外遊びを保障してきた貴重な遊び場ですが、開催日数の拡大や、プレーリーダー・スタッフの確保が十分できるよう補助を増額するよう求めます。更には、子どもの相談や居場所、文化・創造活動など、児童館・子どもセンター・テーンズセンターなどでの拡充、また、そうした子ども支援にとりくむ法人・団体への補助、支援の充実を求めます。
<区の答弁>引き続き、プレーパーク、子ども支援団に対し、適切な支援をおこなっていく。
(4)科学と人権にもとづく包括的性教育の推進です。
北区は「東京都の手引き」にもとづき、妊娠の過程も含め、産婦人科医師を講師とした性教育に計画的に取り組んでいます。区立中学12校中すでに5校で実施されていますが、「早く全校で実施してほしい」との声を頂いています。全国では盗撮や、児童・生徒間で性的な画像を要求、拡散するなど、「性的ないじめ」も起きており、
段階や発達に応じて、人権を基盤とし、科学的根拠にもとづく包括的性教育はますます重要であると考え、取り組みの推進を求めます。
<教育委員会答弁>私は、北区がこれまで進めてきた「教育先進都市・北区」を新たなステージに進めるための基軸の1つに「心の教育」を掲げました。性に関する教育は、児童・生徒の人格の完成を目指す「人間教育」の一環として「生命の尊重」「人格の尊重」「人権の尊重」などの根底を貫く人間尊重の精神に基づいて行わるもので、「心の教育」の1つとして重要なものと捉えています。産婦人科医による出前授業は、実施校を順次増やしており、中学校3年間においてすべての生徒が産婦人科医による授業を受けられるよう、既に検討に着手しているところです。引き続き、学習指導要領に基づく性に関する内容に加え、児童生徒の発達段階に応じた教育を推進してまいります。
(5)「小1の壁」問題について
小学校入学で保育園より登校時間が遅くなり、親の出勤に影響、あるいは親が出勤した後、子どもが一人で過ごす、朝食を食べない等、いわゆる「小1の壁」問題について、他区では朝学童の創設検討や長期休業中の7時45分から8時15分前まで、学校用務員が見守りを行うなど始まっています。私自身も保護者から、とりわけ長期休業中、「せめて学校の門の中で待機させてもらえないか」と相談を受けています。
北区でも現状を把握し、朝学童や見守りなど対応を検討して頂くよう求めます。
<区の答弁>保育園等の登園時間と学校の登校時間に差があることから、朝の送り出しにおいて課題があることは認識しています。区においては、早朝の学校施設の開放についての安全確保や学校の管理上など整理すべき課題があります。保護者の方からのご相談があれば、ファミリサポート制度の活用などをご案内するなど引き続き対応するとともに、先行自治体の動向については注視していく考えです。
一方、社会全体として働き方改革や休業制度の充実などについてもあわせて考えていくべき問題でもあり、この点については、機会を捉え国などにも要望していく必要があると認識しています。
私は再質問で、
昨日も区内の中学校で内科医師が2年生に対し「より良く生きていくための性教育授業」を行い私も参観した。真剣に聞いている生徒さんの反応を見て、関心が高いことを実感しました。来月は3年生を対象に「デートDV講座」も予定されているとのこと、学校の姿勢を嬉しく感じている。学校ごとに工夫して、日々の教育活動・実践の中で、児童・生徒に対し、身体の科学的知識や自己決定の大切さ、自己管理のスキル、人と人のより良い関係の構築など学びをすすめてほしいと重ねて要望しました。
