2025.03.01
気候危機打開、環境対策の拡充を(代表質問)
2月21日、本会議代表質問で、気候危機打開、環境対策の拡充を求め、大きく4点質問しました。
(1)温室効果ガス削減目標とエネルギー対策について
今年1月10日、国連の世界気象機関は、2024年の地球表面の平均気温が観測史上最高を更新し、産業革命前の水準を1.55℃上回ったとの推計を発表。世界パリ協定での気温上昇1.5℃に抑えるため、COP28合意の「化石燃料からの脱却」「2030年までの再エネ3倍化」など、国政・地方行政あげて、いっそうの推進が急務です。
しかし昨年12月、国が示した第7次エネルギー基本計画案は、温室効果ガス削減目標が2035年60%、再エネの2040年目標が40%~50%と極めて不十分であり、石炭火力の廃止期限も示せず、原発も「最大限活用する」と明記されました。国の計画は、北区の計画にも影響するもので看過できません。
国に対し、温室効果ガスは70%~80%削減、2035年までにエネルギー消費量を6割減らし、電力の再エネ比率を8割、石炭・原発ゼロをめざすよう求めてください。
<区の答弁>
国が令和6年12月に公表した「第7次エネルギー基本計画(原案)」では、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、最大限の導入を促すとしています。一方、原子力の、一定出力で安定的に発電可能等の特性は、半導体工場等において需要ニーズがあることから、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくとしています。区といたしましては、引き続き、ゼロカーボンシティ実現に向けた取り組みを着実に推進していくとともに、エネルギー安定供給や脱炭素に向けた、国の政策の方向性を注視してまいります。
(2)省エネ・再エネ推進について
北区の新年度予算案では、分庁舎や区立体育館、私道防犯灯のLED化が示されたことを歓迎します。更には、区立施設、区営住宅および学校などの屋上、壁、窓の断熱化や、区立公園も含め、太陽光発電、蓄電設備の設置、再エネ由来電力への切り換えなど更なる推進を求めますが、北区の現状と今後の取り組みをうかがいます。また、民間戸建ての他、集合住宅や事業者などへの取り組みについてもお示しください。
<区の答弁>
区では、ゼロカーボン実行計画に基づき、新築案件については、原則、ゼブオリエンテッド相当以上を目指すとしており、既存施設においても、改修の機会を捉え、建物の用途、規模、費用対効果等を勘案の上、可能な限り省エネ性能の向上や再エネ設備の導入を検討し、ZEB実現に必要な技術を採用しています。また、民間戸建ての他、集合住宅や事業者などに向けては、平成20年度に再エネ・省エネ機器等の導入助成を開始して以降、助成項目の追加、限度額の引上げなどの充実を図っています。引き続き、温室効果ガス削減に向け取り組みを推進してまいります。
新年度、「事業系生ごみの減量プロジェクト」の実施や、事業者と連携し、使い捨て容器削減のためリユース食器の活用をすすめる事業に大いに期待します。
私自身も自宅の生ごみを土に混ぜて処理する「キエール」を実践する中で、燃えるごみの減量を実感しています。また、リユース食器については、ごみ減量のみならず、プラスチック製品ではない、健康と環境にやさしいサステナブル食器を活用し、区民への啓発をとあわせて取り組んではどうかと考えますがいかがでしょうか。
<区の答弁>
区の喫緊の課題であるごみの減量については、新年度の3つのリーディングプロジェクトのひとつとして、これまでの家庭への取組みに加えて、事業者への支援を強化し、これまで以上にゼロ・ウェイスト、ごみゼロへ向けた取り組みを進めてまいります。
新規事業「リユース食器活用実証実験」で使用する食器については、繰り返し使うという主旨から一定の耐久性が必要となり、現状、ご提案のサステナブルな食器の利用はできませんが、リーディングプロジェクトの取り組み等を環境ポータルサイトを活用して積極的に発信し、ごみの減量や環境に対する区民の意識醸成、行動変容へとつなげていきたいと考えています。
(4)最後に、緑の保全、カーボンオフセットについてうかがいます。
昨今、区内の樹木について、倒壊の防止や道路・公園の管理などにより、伐採の機会が増え、区民から「知らないうちに木が切られてしまった」「木をきらないでほしい」との声が寄せられるようになりました。新年度予算案では、公園樹木の戦略的メンテナンスの実施として、計画的な診断・撤去・捕植が新規事業となっていますが、
①近隣住民のみならず、広く区民周知を行い、専門家の意見もふまえて、区民と課題を共有し、積極的に緑の保全を図って頂くよう求めます。また、老木など安全確保のため伐採する際も、木にQRコードで読み取れる案内版を設置し、周知や説明を行なう。伐採後の木の活用を検討する。伐採によって緑が減らないよう計画的に木を増やすなど取り組みを求めます。
<区の答弁>
区では、道路や公園等における樹木の管理では、安全を第一に倒木が無いよう、樹木医による診断の結果を踏まえ、撤去・補植を基本としておりますが、強風等による倒木の緊急対応や成長による隣接地への支障による撤去なども行っております。
樹木の撤去に際しては、緊急性を伴わず、計画が明確な場合は、地域への説明会による課題の共有や現地に告知するなどの事前の周知に取り組んでおります。また、道路の改修、公園の再整備における支障樹木については、やむを得ず撤去する場合は、できる限りの木チップ化により、腐葉土や遊具回りの緩衝材に活用をしております。
引き続き、区といたしましては、樹木等の適切な保全管理と道路や公園等の整備により、新たな創出を図り、みどり環境の充実に努めてまいります。
②カーボンオフセット事業について、北区と中之条町が一昨年、協定を結び、共同で森林整備を進めるとしました。町有林3.8haを「北区の森」として育てながら、環境学習や林業振興、交流事業を重ねていく事業の種地となる場所です。毎年少しずつ植樹エリアを拡大していく予定と伺っています。
また、北区と中之条の小学生が、山に登り森林の間伐体験などを通じて、森や緑の大切さを学ぶ森林整備体験事業も見学させて頂きました。今後、50年、100年と木を育てながら、幅広い世代の区民参加で、息の長い事業として発展するよう期待しますが、今後の取り組みについてお聞かせください。
<区の答弁>
区は「北区環境基本計画2023」に重点施策として掲げている自治体連携による森林整備の取組みを推進するため、友好都市である群馬県中之条町と渋沢栄一ゆかりの地である北海道清水町の2自治体と、森林整備体験学習事業を実施しています。
中之条町での植樹は、北区で排出する分の二酸化炭素を森林が吸収して地球温暖化を防ぐ目的のほか、森林の持つ機能や木育活動を通じて、子ども達の学びを深める機会を創出しています。現在は、小学生を対象として事業を実施しておりますが、今後は、区民の皆様にご参加いただける事業展開を検討してまいります。引き続き、森林整備を計画的に実施し、区民の皆様がいつでも訪れることができる、緑豊かな「きたくの森」の育成を目指してまいります。
私は再質問の中で、緑の保全について、先日、名主の滝公園の木が、公園管理や管理道路の整備に伴い、多数、伐採を余儀なくされる際も、住民の方が木々への思いをこめて、お神酒をかけておられました。私自身も、その思いに深く共感します。
王子三角公園のシンボルツリーが腐食により切ることになった時も、北区が木の幹に案内版を表示し、多くの区民が惜しむ時間を共有することができた。その時は、区内の保育園法人から、子どもの遊具やベンチに再利用することはできないかとの申し出でがあり実現し、子ども達の成長に生かされたと、気持ちが救われたこともあった。古くは、王子駅南口前にあった紙の博物館移転の際も、大きなメタセコイアの木を切る際、地域の方から南口のシンボルツリーを残してほしいと要望があり、堀船公園に移植できたこともある。このように木々には地域や人との歴史、関係性がある。そうしたことも含めて、緑を守り、増やし、生かしていくことを、まちづくりにすえてほしいと強く求めました。

中之条の「北区の森」用地にて
