包括的性教育の充実を考える

2025年8月2日(土)、包括的性教育の全国夏季セミナーをオンライン受講しました。今年のテーマは、いま沖縄で考えよう!平和をつくるための包括的性教育です。

今、国際情勢ではロシア・ウクライナ戦争やイスラエルによるパレスチナ(ガザ)への軍事侵略、台湾有事の想定などにより、日本でも日米共同の大軍拡路線が進められ、沖縄を含む南西諸島は、軍事要塞化されつつある状況となっています。

さらに沖縄では、在日米軍の基地が7割も集中し、米兵と米軍族による性暴力加害など凶悪事件や事故が続いています。

包括的性教育は、からだの権利、個人の尊厳として、「性的自己決定権」を尊重していますが、それは平和な環境でこそ保障されるのではないか。そうした問題提起の下、

愛国と教育危機のつながりを沖縄から考える」と題し、映画「教育と愛国」の監督である斎加尚代さんが記念講演

性教育は個人の尊厳と幸福追求のかなめであり、差別解消と戦争にも深くかかわるものとして性教育バッシングがあり、戦争においては女性の身体が略奪の対象、戦利品として扱われていることが語られ、

現在、上映中のドキュメンタリー映画「黒川の女たち」では、岐阜県黒川村の満州開拓団で「性接待」を強いられた15人の乙女の歴史と個人史が描かれていることも紹介されました。

立教大学名誉教授の浅井春夫さんは、「平和の探求、人権の尊重、社会運動の創造を考える」と題し、包括的性教育の今日的な意味について、以下、講演

①子ども・若者に届けるためには、公教育として位置づけ、教員養成課程にも入れる。

②文部科学省のすすめるいのちの安全教育はルール学習が中心。からだの権利教育として発展させる必要がある。

③中央教育審議会 学習指導要綱のはどめ規定の撤廃はまったなし。であると指摘しました。

2025年の若者の性事情、青少年の性行動全国調査によれば、

性やSEXを「きたない」「どちらかといえばきたない」は、2005年58.4%、2023年71.8%と増加している。

生涯でセックスワーカーや商業的性サービスを利用したことがあるか、女性4%、男性48%と男性の約半数が、性売買を経験していることをどう考えるか?

性的同意、性の快楽について、ジェンダー平等、からだの権利など、性について、ポジティブに語っていくことが重要と語りました。

さらに、

2025年7月17日朝日新聞の調査によると、全国の政令市、県庁所在地、東京23区の教育委員会に性教育ついて質問したところ7割が「拡充が必要」と回答し、学習指導要綱以上を「認めたい」が5割となったこと。

また、拡充するうえで障害と考えられるものは、「授業時間が足りない」22、「教員が多忙、指導力を高める時間がない」21、「はどめ規定の存在」11となったことを紹介しています。

こうした教職員の教育環境や働き方の改善とあわせ、包括的性教育の拡充が、ジェンダー平等や平和の構想の根幹となることをふまえ、取り組んでいく必要があることを学びました。

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