外国ルーツの子どもの進学を考える

 9月末、2018年度(H30年度)の日本語指導が必要な児童生徒結果と、全国1741の教育委員会に対する初めての就学実態調査結果が公表されました。

「日本語指導が必要な児童生徒」とは、「日本語で日常会話が十分にできない児童生徒」及び「日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じており、日本語指導が必要な児童生徒」を指す(文科省)

 全国の公立小中学校に通う外国人児童生徒のうち、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数は、全国の小学校で59094人中、26092人と、44.2%。中学校で、23051人中、10213人と44.3%と、約半数近くにのぼっています。

 東京では、小学校9793人のうち、1857人の19%、中学校3131人中1027人と32.8%となりました。全体では、高校生では722人、義務教育学校27人、特別支援学校12人を加え、3645人となり、前回2年前の調査に比べて、2932人も増加していることが明らかになっています。

 東京都3645人の母語別の状況では、中国語1865人、フィリピン語552人、英語200人、韓国・朝鮮語116人、ベトナム語73人、スペイン語57人、ポルトガル語26人、その他756人でした。

 また、H29年度中の日本語指導が必要な高校生等の中退・進路状況が初めて調査され、中退率は9.6%と約10人に1人。進学も就職もしていない者は、18.2%と6人に1人であることが示されました。

 さらに、今年度、初めて行った文部科学省による就学状況等調査では、日本に暮らす学齢期の外国人の子ども、約12万4千人(住民基本台帳上)のうち、教育にアクセスできていない子どもは、不就学1000人、就学状況確認できず8768人、就学状況が不明9886人の計19654人、これに出国・転居3047人を加えると、約2,2万人であり、6人に1人の計算となった。

 これを東京で見てみると、約2.5万人のうち、不就学250人、転居・出国392人、就学状況確認できず4007人、就学状況が不明3641人と、計8290人で、3人に1人と非常に高い割合となっている。わが北区の状況も確認が必要である。

 日本の公教育において、外国籍者はいまだ就学義務の対象になっていない。親が子どもを通わせようとすれば、教育を受けることはできるが、いろいろな事情で学校に通うことができない外国人は、「不登校」ではなく、学籍がなくなり「退学」との扱いになるという。

 外国にルーツを持つ子どもたちが、不就学や不登校、日本語取得や教科学習、学校生活、進路や進学で様々な困難に直面し、自分が持つ可能性を十分に発揮できない状況を、子どもの権利条約や人種差別撤廃条約による、すべての子どもたちに教育の権利を保障することに変えていかなければならないと、改めて感じている。

移住者と連帯する全国ネットワークのパンフレットより
区民まつり、国際ひろばにて

 

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