DV加害者プログラム研修会

 DV加害者更生教育プログラム全国ネットワーク(PREP-Japan)主催による研修会に参加しました。

 中京大学教授の柳本祐加子さん、PREP-Japan代表の山口のり子さんが講師となって、DV加害者更生義務の「法制化」とは何かについて、講演・対談が行われました。以下、学んだことを紹介いたします。

 昨今の児童虐待死事件で明らかになったとおり、虐待とDVは関係性があります。虐待を行った父は、同時にDV加害者でもあった。児童相談所と配偶者暴力防止センターはバラバラではなく、互いの垣根をとりはらい、一番弱い立場の子どもを守らなければならないと、2019年児童福祉法が改正となりました。

 もともと、児童福祉法上では、保護者指導がある。その他、面会交流や養育費の問題など親へのアプローチがうたわれているが、その内容が、威嚇的になってはいないか?威嚇であれば、暴力をふるわない行動変容を促すものになりえるのか?など問いかけあり。

 求められる加害者更生教育プログラムは、おどしや飴と鞭、人の前で恥をかかせる、体罰を与えるなどで人を支配しようとする、子どもをしつけようとする考えや行動を改めること。

 そのためには、加害者が安心して自分をみつめ、話を聞き、語り、互いにアドバイスしあう中で、自ら気づき、人を鏡にして気づきを重ねられるようになることが必要。

 そして、加害者が本当に変わったかどうか、評価するのはパートナーや子どもたちである。被害者とつながって加害者プログラムを行うことが大事である。

 DVは力と支配。社会の中のゆがみ、非常に根深い価値観や文化がある。どんな立場の人にも自生し、内観する。アメリカでは、DVは犯罪とはっきりしている。日本ではまだまだそうなっていない。加害者が守られ、被害者が自分自身を責め、周りからも責められる。

 加害者には変わってもらう必要がある。行政や制度でプログラムに通いなさいと言ってもらえることは重要。暴力や支配のゆがみは社会が生み出している。加害者更生教育プログラムを制度化し、ファミリーバイオレンスをしている加害者の生き直しのプログラムが保障される必要があると学ぶ事ができました。

 DV被害者の女性から「今も暴力をふるった人にまちでばったり会わないか、心のどこかで怯えている」「元DV夫が亡くなったと聞いた時、不謹慎と思われるかもしれないがホッとした」との声を聞き、暴力を受けた側がどれだけ命の安心や安全を脅かされるものなのかを実感しました。

 DV被害者支援を一義的な目的として「加害者を放置したままにしない」ために、DV加害者更生教育プログラムが、一日も早く法制化される必要性があると認識しました。そして、自分自身の中にもある暴力性に気づき、力や支配によらない対等な人間関係をつくることができる子どもの頃からの教育や、被害者の側が力をつける教育も大切であると感じました。

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