身近にあるDV・性暴力とその背景

 11月8日、北区のスペースゆうを会場に、女性への暴力をなくすために~身近にあるDV・性暴力とその背景~と題し、一般社団法人Springの代表理事、山本潤さんが講演しました。

 山本さんは冒頭、「性暴力は女性の問題だけじゃない。男性でも、セクシャルマイノリティでも、社会を構成する全員にかかわること。被害者、加害者をつくらないために、どうやってこの日本で私が、私たち自身が対応できるか考えていきたい」と口火を切りました。以下、お話された内容の要旨を紹介。

・性暴力は力によって人を支配し、自分の欲求を満たそうとするもの。同意のない性的言動。自分の身体は自分のもの。自分で決めていいものへの侵害であり、それが侵されることにより、トラウマ、苦しくて死にたくなったりする。

・性的虐待は、とりわけ信頼している関係なのに、自分ののぞまない行為をすることにより、どれほどの裏切り、最も毒を注がれることかはかりしれない。言葉にできない。相談できない。そうした苦しさを理解する。わかろうとすることが大事。

・DV家庭では、虐待をセットでアセスメントする必要がある。

・大学生の間でも、自分が性暴力を受けたと思っていない場合ある。自分の身体は自分で守っていい。一方、「性的同意」について学ぼうとする意識が高まってきている。お互いにお互いを大切にして、理解することを学びあうことが重要。

・2017年、110年ぶりに刑法が改正された。名称が強姦罪から、強制性交等罪に。定義は男性器の女性器への挿入のみから、口腔・肛門への挿入も、また、性別問わず拡大した。有期懲役は、3年以上から5年以上へ重罰化。起訴は親告罪から、非親告罪へ。監護者であることに乗じた性犯罪も創設された。

・しかし残された課題がある。暴行脅迫要件(抵抗できないほどの暴行脅迫があったことの証明が必要。怖くてかたまってしまっても同意があったとみなされる)パートナーからの性犯罪。地位関係性(上司と部下、先生と生徒。先輩と後輩などは考慮されない)性的同意年齢(13歳以上は大人と同様に暴行脅迫要件適応)時効(強制性交等罪10年。強制わいせつ7年)など。

・2019年3月に、実父による娘への性犯罪など、4つの裁判が無罪判決となり、被害当事者を中心に、もう黙ってはいられない。怖い。悔しい。「社会の認識がかわり、被害を被害と認めてほしい」との声が拡がり、4月11日東京駅前に花をもって集まる#フラワーデモが始まった。2020年3月で、47都道府県、延べ1万人以上が参加している。

・2020年は刑法改正の際の付則、3年目を目途として所要の措置を講ずる、刑法見直しの年。暴行脅迫要件の撤廃や、性的同意年齢の引き上げ、強制性交等罪の行為の範囲を指と異物挿入など、刑法改正を求める署名は15万筆に達している。刑法の見直しをすすめる検討会に当事者代表も参加して議論。国会でのロビー活動や、大臣への要請も実施してきた。

・相手のNOも自分のNOも大事にできる。無意識の思い込みや偏見に気づく。加害者に責任をとらせ、再犯を防止する。傍観者にならず、被害者を支援するしくみをつくり、性暴力がない社会をつくろうとよびかけました。

 

 

 

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