2021.04.17
多様性社会とジェンダー平等
4月17日、北区男女共同参画推進ネットワークが主催する「2021ねっとわーくまつり」に参加しました。
初日は、中央学院大学現代教養学部の皆川満寿美さんが「ジェンダー平等からダイバーシティへ?」と題し、誰もが等しく尊重される社会をつくるために、何が必要か?一緒に考えようと講演。その中で、4月8日に発表された電通の調査結果も紹介されました。
私自身は、その内容について、非常に興味を持ち、考えさせられました。以下、ご紹介させて頂きます。
株式会社電通が、今年4月8日「LGBTQ+調査2020」として発表したのは、全国20~59歳の計60000人を対象に行った、LGBTを含むセクシュアルマイノリティに関するインターネット調査である。
セクシュアリティを「出生時に割り当てられた性」(出生性)、「本人が認識する性」(性自認)、「好きになる相手の性」(性的指向)の3つの組み合せで分類し、ストレート層(異性愛者であり、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する人)と答えた方以外をLGBTQ+層と定義(当社の調査は4回目であるが、Q+として多様なセクシュアリティを加えたのは今回がはじめて)
調査結果では、LGBTQ+層と回答した方は、前回2018年調査と変わらず8.9%であったものの、クエスチョニング(性自認・性的指向が決められない、分からない)、アセクシュアル・アロマンティック(他人に恋愛感情を抱かない)、エックスジェンダー(性自認が男性、女性どちらとも感じる、どちらとも感じない)方など、L・G・B・Tの他にも、多様なセクシュアリティの存在が明らかになったこと。
また、LGBTという言葉の浸透率は、2018年調査の68.5%から80.1%となったが、「L・G・B・T」以外の多様なセクシュアリティ(Q+)についての認知度はいまだ低く、更なる理解促進が待たれると報告しています。
更に、今回の調査で初めて、ストレート層のLGBTQ+に対する知識と意識を調査し、6つのクラスターに分類。(以下。当社報告を参照)
- アクティブサポーター層(29.4%):課題意識が高く、積極的にサポートする姿勢がある。身近な当事者や、海外コンテンツを通して理解を深めた。
- 天然フレンドリー層(9.2%) :知識のスコアは低いが、課題意識や配慮意識が比較的高く、ナチュラルにオープンマインド。
- 知識ある他人事層(34.1%):知識はあるが、当事者が身近にいないなど、課題感を覚えるきっかけがない。現状維持派。
- 誤解流され層(16.2%):少子化といった社会への悪影響を懸念するなど、誤解が多いため一見批判的だが、もともと人権意識はある。
- 敬遠回避層(5.4%):積極的に批判はしないが、配慮意識が乏しく関わりを避ける。知識はある程度あっても、課題と感じていない。
- 批判アンチ層(5.7%) :生理的嫌悪、社会への影響懸念が著しく高い。人種差別や環境問題などの社会課題に対しても興味を持たない。
最も多かった層は、LGBTQ+に関する知識はあるものの課題意識があまり高くない「知識ある他人事層」(34.1%)で、周りに当事者がほぼいないなど、自分事として考えるきっかけがなかったためか、LGBTQ+のトピックを他人事と捉えてしまっているという特徴がみられる層であり、当事者が抱える課題感をこの層に啓発していくことが、平等な社会実現に向けたきっかけになりうるーと考察しています。
更に、私自身が注目したのは、6つのクラスターの中での性別割合です。
知識ある他人事層、誤解流され層、敬遠回避層では、男性が6割以上を占め、批判アンチ層では男性が8割を占めている一方、アクティブサポーター層や天然フレンドリー層の7割近くは女性であることでした。(以下、当社報告参照)
●各クラスターのデモグラフィックの特徴アクティブサポーター層や天然フレンドリー層は女性の割合が約7割ずつと高く、若年層に多い傾向にあることが分かった。その一方、批判アンチ層は約8割が男性で、50代に多く見られた。
(図9) (図10)
私は、以上のこのことからも、一人ひとりの個人の尊厳、人権を尊重し、多様性社会を推進していくためには、政策決定の場はもちろん、あらゆる場面でジェンダー平等を推進することが力になること。更に、男性の理解と参画が、当然ながら必要不可欠であることを改めて感じました。
更に、調査では「性の多様性」を学校教育で教えるべきと回答した人が約9割にのぼること。自治体のパートナーシップ制度について、当事者の人権保護や、地域の環境改善に寄与することが示されています。
北区でも一日も早く、パートナーシップ制度およびファミリーシップ制度の制定をすすめたい。