2022.01.23
廃プラスチック問題Q&A
「北区版SDGsライフ宣言」起草市民会議主催による、第3回目のオンライン勉強会に参加しました。第1回がエネルギー問題、第2回がごみ問題、そして第3回目の本日は、プラスチック問題です。進行は起草市民会議の発起人のお一人、谷本有美子(法政大学社会学部社会政策科学科准教授)さん。
3人の発表者の方より、プラスチックの問題について、順に報告がありました。
秋元智子(一般社団法人地球温暖化防止全国ネット専務理事)さん。廃プラスチック問題の基本についてお話されました。(以下、要旨)
・石油を原料としたプラスチックは、手軽で耐久性に富み便利だが、デメリットは、自然分解できず、経年劣化の程度が大きい。燃やすとCO2が発生し、地球温暖化の原因にもなっており、大量のプラスチックが海に流れでて、海洋汚染になっている。
・世界との比較では、日本はプラスチック大国(ペットボトルの国内年間出荷は227億本、年間300億枚ものレジ袋を消費する。国民1人あたり年間300枚使っている計算)である。
・更に、1人あたりの容器包装プラスチックごみの発生量は、2020年度世界第2位!(これには驚き。やばい )
・プラスチック製品の生産、使用、廃棄、リサイクルの流れをみると(2017年推計値)、プラ製品の使用は年間で約1012万トン、大半は廃プラスチック903万トン(内訳は一般家庭418万トン、企業435万とほぼ半々)で、そのうち14%の128万トンは埋立、86%の775万トンが有効利用。うちわけは、サーマルリサイクルが58%と約6割は焼却。マテリアルリサイクル23%、ケミカルリサイクル5%)
・世界の海に存在しているプラスチックごみは、合計1億5000万トン、アジア諸国からの発生によるものが、全体の82%を占める。日本周辺はマイクロプラスチックの「ホットスポット」(日本近海のマイクロプラスチックの濃度は、世界平均の27倍にも相当するとの調査結果あり)
・海洋ごみは、自然分解されず残ってしまう(レジ袋20年、アルミ缶200年、ペットボトル400年、オムツ400年)、有害物質として最大100万倍に濃縮される。
・2050年には海洋プラスティックごみは、魚の量を上回ると言われている。(なんと恐ろしい話)
★ライフスタイル・消費を考えよう ①ワンウエイのものを作らない、買わない、使用しない。②ごみの適正処理。③プラスティックの代替品の開発 ④R4年4月より、プラスティック資源循環促進法がスタート
次に、廃プラスチック対策の北区の取り組みについて、北区リサイクル清掃課の大村係長よりお話がありました。
北区ではこれまで、プラスチックは可燃ごみで収集していたが、今後、資源として回収していく。R4年10月から、滝野川地区で先行実施。R5年4月から、赤羽・王子地区で実施する。古紙の回収日と同じ日に、プラスチックごみを回収する。プラスチックには、①容器包装プラスチックと②製品プラスチックがあり、①のみを資源回収する自治体もあるが、北区では分かりやすくするために、①も②も分けずに回収する。
更に、分別回収について、どのように取り組んでいくのか、回収できるもの、できないもの、出し方のルールなど、パワーポイントを使って、わかりやすくご説明頂きました。
3人目は、びん・缶、プラスチックの分別回収を行っている事業者、戸部昇さん(株式会社トベ商事)より、分別回収の工程をスライドを見ながら、選別現場からのお願いとして具合的に気をつけてほしいことが紹介されました。
例えば、・袋は2重にしない。・時計、ラジカセ、おもちゃ、コードリール、スマートフォン、バッテリーなどは回収できない。・中でもバッテリーは衝撃が加わると発火するため一番困る。・乾電池、チャッカマン、ライターは不燃ごみ。・医療用の注射器、注射針は回収できないし、危険(作業員の手に刺さる)・プラスチックに別の素材がついているものは出さない等。(大変、参考になりました)
・更に、生活の見直しとして、容器そのものを選ぶことも必要ではないか?びんや缶は自然に悪さはしない。プラスチックをリサイクルするだけでなく、プラスチックそのものを使わない、環境にやさしい入れ物について取り組むことが大切ではとよびかけました。
参加者からは、「リサイクルする時の苦労、現場の声を聞いたが、たくさんの方にもっと知ってもらった方がいい」「ごみの分別は億劫だが、協力してすすめていきたい」「そもそもプラスチック製品はなくしていった方が良いのでは?もっとリデュースにも力をいれてほしい」「北区は中間施設をどうするのか?」などの質問・意見が活発にだされました。