売春防止法から転換 女性支援新法成立へ

 参院厚生労働委員会は4月12日、女性支援新法の委員会提出を全会一致で決定しました。新たな女性支援の新法は、女性差別の規定をもつ売春根拠法から転換し、当事者の人権保障を基本理念に掲げる内容です。

 現在の婦人保護事業の根拠法である売春防止法は、性売買に従事する女性を取り締まり、保護・更生を目的としています。長年、当事者や支援団体から、人権の理念が欠如している。虐待や暴力、性搾取・性暴力の被害など多様な困難を抱える女性に対し、人権の尊重、福祉の支援が中・長期的に、包括的に行われる新法が必要との要請が、長年にわたり続けられていました。

 2019年に、公民の女性支援に関わる関係者が一堂に会して1年間かけて議論を重ねた、「困難を抱える女性への支援のあり方検討会の中間のまとめ」でも、上記の方向性が示されていましたが、ようやく超党派でまとめられる運びとなりました。

 基本理念では、当事者の「意思の尊重」「人権擁護」「男女平等の実現」を掲げ、「女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多い」と支援の必要性を指摘。国と地方自治体の責務を明記しています。

 現行の婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設の仕組み(3機関)を残しつつ、それぞれ女性相談支援センター、女性相談支援員、女性自立支援施設に改称。その役割として新たに「心身の健康の回復を図るための医学的又は心理学的な援助」や「当事者の立場に立った相談対応」「同伴児童への学習・生活支援」などを盛り込んでいます。

 民間の支援団体との「協働」「その自主性の尊重」をうたい、民間団体を行政と対等な関係に位置づけます。

 新法と合わせ、売防法の女性差別規定も大幅に削除。婦人保護事業の根拠規定(4章)に加え、売春の勧誘罪(5条)で執行猶予となった女性を婦人補導院に収容する規定(3章)もなくします。

 支援現場からは、「困難を抱える女性に寄り添った法案」「人権、福祉がしっかり位置付けられている」など歓迎の声が上がっています。

 日本共産党は、婦人相談員や婦人保護施設の全国団体、民間団体と折々に懇談。斉藤和子、池内沙織、藤野保史の各衆院議員(いずれも当時)、倉林明子参院議員らが、AV出演強要問題など若年女性の実情や支援体制の強化、売防法の抜本改正を訴えてきました。

 私自身も2018年以降、区議会で質問し、女性支援の新法制定を求めてきたので、本当に嬉しいです。

 

 党ジェンダー平等委員会責任者の倉林明子議員は、新法制定を「当事者、支援者の長年の運動の成果だ」と強調。他方で、残る課題として

▽売防法5条の廃止

▽低賃金・不安定雇用に置かれている婦人相談員の待遇改善と専門性の担保(婦人相談員の86%は非正規雇用。1年ごとの更新。3~5年で雇どめをやめ、研修の充実、専門性のスキルアップが必要)

▽予算の大幅な拡充と3事業の体制強化

▽住民に身近な市区の役割強化を挙げ

「現場での支援が実効性あるものとなるよう、今後も国会、地方議会での働きかけを続けたい」と語りました。

 さらに売買春・性搾取被害者を犯罪者とみなす一方、買う側は問われない規定が残っているとして、売春防止法の抜本的な見直しを求めました。

私も、区議会で引き続き、取り組みたい。

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