私の中の主戦場

 先日、話題のドキュメンタリー映画「主戦場」に足を運んだ。日系アメリカ人の監督が、日本軍「慰安婦」の問題について、日本、韓国、アメリカにおける、この論争の中心人物たちにインタビューを行い、それらの主張を反証させながら作成した映画である。

 テンポよく繰り出される論証と分析的な映像に、自らも論争の渦中に入り息をのむスリリングさ。前から2列目で鑑賞したせいもあり、視覚的にも情報的にも圧倒された。

 映画の中で、日本の若者が「慰安婦」を知っているか?とインタビューされている場面がある。何人もの若者は「知らない」と答えていた。私自身も日本軍「慰安婦」について主体的に学んだのは、社会人になってから。元慰安婦だった女性の証言を聞いたり読んだり、韓国の資料館に足を運び、10代の少女たちの身におこった、筆舌に尽くしがたい性被害、人権侵害の状況に言葉がなかった。

 慰安婦問題は、民族差別、女性差別、戦争という暴力がクロスする究極の暴力として現れる。社会的にも、歴史的にも、家父長制度によっても、その存在はなきものにされ、被害者が名のりでることすらできない時間が長く続いてきた。

 戦後70年が過ぎているが、日本軍「慰安婦」問題は、未だに解決していない。こうした映画をみながら、教育を通じても、もっと日本の一人一人がこの問題を知り、話ができるようになることが望まれる。

 そして、今もなお、日本社会に蔓延している性暴力・被害をなくしていくことにつなげたい。

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