子どもの生とセクシャリティー大人は現代の子どもたちの性とどう向き合うか

 7月8日(土)ホテルメトロポリタンを会場に開催された、日本「性とこころ」関連問題学会 第12回学術研究大会の講演会に参加しました。

 大船榎本クリニック 精神保健福祉部長の斉藤章佳さん。聖隷浜松病院リプロダクションセンター長の今井伸さん。原宿カウンセリングセンター顧問の信田さよ子さんが講演。

 斉藤氏からは、長年にわたり、依存症や性加害者臨床に携わってきた立場から、7月13日に施行となる新たな性犯罪刑法改正について、不同意性交等罪が創設されたことの重要性が強調されました。

「同意」とは何か?について考えざるをえない状況になったことは画期的なことであると。

 とりわけ、子どもに対する性加害を繰り返す人は、孤立や孤独を抱えて、清純な子どもを選んで近づいていく。子どもの話を受容、共感、傾聴し、信頼関係をつくりながら、徐々に性的関係を秘めごととしてすすめる。加害者は、子どもは黙って受け入れてくれる(承認と思っている)。性教育を優しく教えている。これは愛情表現。性器を触るくらいなら犯罪ではない(口外禁止)など、性的グルーミング、加害者が自分の行動や認知の歪みを正当化していく。

 その本質は、飼育欲、支配感情。背景には、子どもを性の対象として消費する社会。家族や学校、社会やメディアもそうした考えを持っていることを指摘し、1次予防としての包括的性教育、性的同意について学び、身に着けていくことの大切さを強調しました。

 今井氏は、子ども達とともに学ぶ「射精道」と題し講演。

 不妊治療に来られた症例で、男性不妊症の原因のうち、射精障がいが15%もあると紹介。「射精は1日にしてならず」そもそも、自分の身体、性の知識、射精のメカニズムやその方法を学ぶ機会や場、性教育が十分に保障されていないとして、思春期、青年期、保護者編の内容で「射精道」(陰茎を持つものとしての行動規範。武士動に通じる誇り高き守るべき道)を伝えていることを、ユーモアを交えお話されました。

 信田氏は、性なる家族、なぜ性虐待は隠ぺいされるのかーと題し講演。

 子どもの虐待の中でも、性虐待はもっとも見えにくい。発見しないとでてこない。水面下にある。プライバシーの名のもとに隠される。家族は単なる集合体ではなく、その中での関係性、権力関係がある。親子関係、夫婦関係、同法関係は両親間の権力関係が反映する。権力をもっているものは自覚がない。権力のないものが感じているもの。

 軽度では「いいおっぱいしてるね」「何サイズ?」などの言葉によるものや、AVやエロ本を拡げて、娘の反応をみる。風呂場をのぞくなど。中程度では、胸やお尻を触る。家族の中ではそれが笑いになる。加害や被害が見えにくくなる。重度では、父が性器を見せる。触らせる。娘のを見せる。一部性行為に及ぶなど。

 援助者として必要なことは、性虐待に対する知識を持つ。被害者への理解(被害を受けている側は見方を選別する)被害者の立場に徹底して立つ。加害者の常識は世間の常識でもある。自らの常識を書き換えなければ、2次被害になってしまうことも。2次被害を指摘されたら、謝罪し修正すべき。援助者は覚悟を迫られることが強調されました。

 

 

 

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