これからを生きるこどもたちに~こども条例で私たちがどう変わるか~

 9月17日、きたく子ども劇場で主催した「これからを生きるこどもたちに」と題し、東洋大学ライフデザイン学部子ども支援学科准教授 内田塔子氏の講演会を聴講しました。

 内田氏は、Rights:とは、あたりまえのこと。誰にとっても当然で正しいことを指している。子どもの権利とは、人間らしく幸せに生きられ、健康に成長するために必要なこと。世界中すべての子どもに、生まれながらに「子どもの権利」があり、だれもされを奪いとることはできないー大人が認める、認めない。義務とかは関係なく、生まれながらにみな持っているものーここが大事と強調。

 1989年に採択された「国連子どもの権利条約」(日本は1994年に批准)の特徴は、・子ども最優先(過去の戦争を反省し、未来の平和な社会を築くためには、子どもを最優先にして尊重しなければならない)・あらゆる差別の禁止(人種、皮膚の色、性、言語、政治的意見、国民的民族的社会的出身、財産、障害、出生等による差別を禁止)・子ども観:子どもも権利行使の主体(保護する対象から、権利行使の主体に、子どもの意思が正当に重視されなければならないー意見の尊重)であり、

 世界の歴史の中で、子どもは戦争によってもっとも生命と未来を奪われ、脅かされた。また、ナチスによるユダヤ人虐殺により孤児となった子ども達に寄り添い続けたユダヤ人医師コルチャック氏の子ども観(子どもはこどもの専門家、子どもはすでに人間である)が大きく寄与していることもお話されました。

 上記の条約成立の過程においても、国連子どもの権利条例第12条「子どもの意見の尊重」は、子どもの最善の利益は何かを判断する上で必要不可欠であり重要な権利。自己の見解を、言語・非言語にかかわらず、子どもは何らかの方法で伝達することができると主体性を説いている(それを理解していくのは大人の責任)

 ユニセフは、2004年に「子どもにやさしいまち」を、条約第2条、差別の禁止。第3条、子どもの最善の利益。第6条、生命・生存、発達に関する権利。第12条、子どもの意見尊重を基本理念とし、次にあげる権利を子どもに保障するまちと定義した。

 自分たちが望むまちのあり方について意見を表明し、家庭、コミュニティ、社会生活に参加する権利。保健ケア、教育、住居などの基本サービスを受ける。安全な水。搾取・暴力・虐待からの保護。友達と会い遊ぶ。植物・動物・緑のスペース、汚染されていない環境。文化的、社会的イベント。サービスにアクセスできる平等な市民。

 更に2018年には、参加型の教育が受けられ、自分に影響を与えることについて、意見を述べ、決定に影響を及ぼす。家庭生活、文化的生活、まち、コミュニティでの生活。社会生活に参加できることを含め、再定義されたことを紹介。

 こうした「子どもにやさいいまちづくり」のための法的枠組み子ども(の権利)条例は、2023年5月現在、64自治体が制定されているが、総合条例として認定されるには、常設の子ども会議・子どもの居場所、こどもオンブズパーソン制度、子どもの権利委員会の設置など、施策を評価するしくみをもつことが必要と提言しました。

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