生きづらさを抱える女性への支援に関わる団体の活動実績調査から 「市民セクター全国会議2023」

12月2日、聖心女子大学のグローバルプラザで開会された「市民セクター全国会議2023」のセミナー(日本NPOセンター主催)に参加しました。

いわゆるNPO法が施行された1998年から25年がたち、いま市民セクターに求められていることーというテーマに惹かれて受講。NPO法人などの取り組みは、私自身の認識として、行政の制度が不十分な中、あってほしいサービス、必要な支援を市民主体でつくり、活動されているスタイルとして尊敬を感じる一方で、活動されている方々が得る収入や法人・団体の資金面は、大変厳しい中で運営されていると受けとめています。

また、現場の最前線でニーズに向き合っている方々が、行政に対してはどのように感じているのか?ということも関心がありました。

セミナーは、午前・午後とテーマ毎にいくつかの分科会に分かれ、私自身は分科会D「調査が拓く市民活動」、午後は「NPO支援センターの実態とこれから」(日本NPOセンターがとりくんだ調査の分析を、東洋大学社会学部社会学科の学生さんが報告)を受講しました。以下、学んだ要旨を紹介します。

午前は「不可視化されてきた女性の困難に光をあてる」として2つの報告あり。

1つは、「生きづらさを抱える女性への支援に関わる団体の活動実績調査の報告」からと題し、日本NPO法人センター次長の上田英司さんが報告。

その目的は、様々な世代の生きづらさを抱える女性を支援する団体の活動に対して、日頃の活動、組織基盤、抱える課題などの実態について情報を収集し、今後の活動における改善・強化をすすめること。

調査期間は、2022年10月31日から11月30日まで 調査依頼は、1100団体(データベースからの抽出と、ひとり親支援、シェルター運営、子育て支援団体、自立援助ホーム、男女共同参画センター)へ、直接依頼しWebアンケートにより調査し、228団体が回答とのこと。

・228団体のうち、生きづらさを抱える女性に対して、何らかの支援活動を行っているのは、161団体

(特化、ほぼ特化して活動25.4% 58団体、支援活動の半分以上を占める12.7% 29団体、他の活動が半分以上を占める32.5% 74団体、今後することを検討中29.4% 67団体)

・161団体の55.3%が、非営利活動法人

(続いて、社会福祉法人9.9%、公益財団法人7.5%、法人化していない組織も1割)

・団体の年間予算規模は、5000万円未満が約7割弱

1000万円以上~5000万円未満が34.2%で一番多く、5000万円未満の団体は67.7%と約7割弱。(500万円以上~1000万円未満、および、1億円以上が、それぞれ15.5%)

・支援対象者は幅広い年代層で、支援の領域のトップは暴力・虐待

「15歳~19歳」から増加し「50~59歳」までどの年代も高く推移し、幅広い年齢層を対象とした支援が行われている。支援の領域ではトップが、暴力・虐待被害が71.4%、貧困・経済的困窮が65.2%と高い。

・多様な機関(団体の95%が実施)と連携

95%の団体が、自治体や社協、児相、配偶者暴力相談支援、福祉事務所など外部機関や施設・団体など多様な機関と連携し、専門家では、弁護士57.1%、医師47.8%が高い。(内部に在籍する専門家は社会福祉士44.7%、精神保健福祉士26.7%、看護師26.1%)

・今後、新規に取り組みたい活動では、

SNSでの相談が15.5%、ステップハウスの運営11.8% 一方で特になしが31.1%(どうとらえたらよいか?自由記述欄では、人材不足で新規事業が十分できないとの声もあり)

・組織運営の課題は、人材や収入源の確保

人材確保が54%、収入減の多様化51.6%、人材育成44.1% 虐待や性被害の対応も含め、専門性が高く求められていると考えられる。

・当事者の状況では、(自由記述より)相談へのアクセス、生活再建など

自己責任や助けてと言えず、相談機関につながれない。性的虐待などは公にしにくく表面化しにくい。DV後の生活再建が非常に難しい。男女の賃金格差、非正規雇用、女性に偏った家庭ケアの負担など、社会状況がひとり親家庭の困難さにつながっている。中年・高齢女性への支援が十分でない。居場所を失った若年女性が繁華街にあふれ、被害にあっている実態がある。

・支援における課題では、(自由記述より)

自助グループで広報ができない。資金面が不安定。資金的な支援が必要。ボランティアに頼った運営。若年女性は制度の狭間。シェルターは秘匿性だが、利用者は地域のつながりが必要である矛盾。

・提言や要望(自由記述より)

DVやジェンダーに関する早期教育による防止。「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」により、行政は窓口開設だけの業務におわらないで。女性相談員の配置と待遇、十分な研修や体制確保を。被害児・者が住み慣れたところで生活するシステム、住居など様々な支援や制度が必要。

報告を伺い、調査によっても示された、支援を必要としている当事者や、支援団体の課題を受けとめ、北区の取り組みにもいかしていきたいと感じました。

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