中高年シングル女性の生活状況実態調査から「市民セクター全国会議2023」その2 

2、「中高年シングル女性の生活状況実態調査」について、わくわくシニアシングルズ代表大矢さよ子さんが報告

中高年シングル女性は、配偶者やパートナーのいない中高年期のシングル女性(子どもにも関係がない女性達)で、中高年期という点では、妊娠・出産が遠くなることで施策の外、シングルという点では、標準世帯から外れることで制度の蚊帳の外、ひとりで生きられる社会の仕組みがない。そして、女性であるが故の差別、雇用面での不利益を背景にもっている。

そうした中高年シングル女性は、2020年の国税調査によると、40~49歳で29.8% 50~59歳で28.8%と約3割、60歳以上では45.6%とさらに増加する。また、母子家庭をみた時も、支援策があるのは20歳未満の子がいる場合で、子どもが18歳を超えると支援が何もなうなってしまうとう状況の下で、

わくわくシングルズでは、隠れた貧困と言われる「中高年シングル女性」の実態を調査し、その実情のと声を政治、社会に届け、貧困解決のための政策提言を行うことを目的に、2022年生活状況調査(困窮の背景にある雇用、住まいに焦点をあて)を実施

・調査対象は、同居している配偶者やパートナーがいない40代以上の単身女性

・実施期間は、2022年8月4日~9月20日 実施方法は、主にインターネットによるアンケート調査

・有効回答者2345人のプロフィールは、

40代が61.2%、50代が24.5% 独身は1332人(56.8%)離婚761人(32.5%)、2018人(80.1%)は主たる生計維持者

・調査結果からみえたこと(以下参照)

・雇用形態は、

正規職員889人(44.8%)、非正規雇用768人(38.7%)、自営業・フリーランス280人(14.1%)、非正規とフリーランスをあわせた1048人のうち、不本意就労は562人(53.6%)

・収入は、

全体で「200万円未満」の収入の人が、33.3%と3人に1人。「300万円未満」の収入の人は56.9%と半数を超える。「500万円以上」の収入のある人は、わずか17%

・住居費の負担が重い

民間賃貸住宅の居住者が最も多い41.8% 民間住宅に住んでいる人の4割弱の方が、月7万円以上の家賃を払っており、またどの年代も、住居費支払い後の家計に余裕がない。

・調査結果を受けての要望

1、中高年シングル女性が安心して生活をおくるために、

・男女の賃金格差、正規・非正規間の格差を是正し、最低賃金を引き上げること。単身者が年金で生活できる制度設計にすること。

・生活保護の申請、受給できる体制整備。

・公営住宅の入居要件の緩和、単身者の入居促進をはかる。保証人を立てられない人への支援。

2、安心して医療・介護が受けられるために

医療機関、介護施設入所の際、身元保証人のいない人の立てられない人へのサポート体制の整備。

3、中高年シングル女性が貧困におちいらないような支援体制の整備

・相談支援機関の充実、強化と広報の徹底

・資格取得などの就労支援の実施。45歳未満の離職者などを対象としている「教育訓練支援給付金」制度の年齢制限の撤廃

・死別、子ども以外の扶養者がいる離別女性に適応されてる寡婦控除のような支援策を、全ての単身女性に適用し、平等に支援する制度に整備など

お話をうかがい、来年4月から施行となる「困難を抱える女性への支援法」の北区での具体化でも、積極的な相談・支援体制の充実をすすめていきたい。

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