2025.09.28
女性支援新法にもとづく北区のとりくみについて
9月9日(火)本会議個人質問を行い、女性の相談・支援の取り組みについてとりあげました。
以下、質問内容と北区の答弁をご参照ください。
(1)女性支援新法にもとづく支援調整会議などの進捗について
長年にわたる女性支援団体や女性当事者の運動によって、今年度、女性の人権擁護と福祉にもとづく、「困難な問題を抱える女性支援新法」が施行され、東京都ではこの法律にもとづき、令和6年度~10年度にかけての東京都基本計画が策定されました。
都の計画内容では、対象者の把握から自立まで、多様な支援の切れ目ない包括的な提供や、本人の意思を尊重した支援の実施、同伴児童を取り残さないサポートの強化、若年女性への支援を推進、女性相談支援員をはじめとした公的支援の強化と民間団体との連携・協働の推進が目標とされました。
私は今年3月の本会議代表質問でも、法施行にもとづく北区での取り組みについて、民間との対等な連携・協働を具体的にすすめる要となる「支援調整会議や実務書会議の設置」など、早急にすすめるよう要望しました。はじめに、
北区の支援調整会議で人選された民間団体のメンバーや各種会議の実施状況とその内容、さらに今後の取り組みの方向性についてもお聞かせください。
【答弁】
困難な問題を抱える女性支援調整会議については、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の趣旨を踏まえて、この間、民間支援団体をはじめ、関係機関等と意見交換を重ねながら開催に向け準備をしてまいりました。
区内を中心に活動をしている6団体から参画していただき、第1回目の支援調整会議代表者会議を8月25日に開催し、区のこれまでの取り組みや各団体の紹介の後、支援の対象や方向性等について議論を行いました。
今後、実務者会議を開催するとともに、案件が生じ次第、個別ケース会議を開催する予定です。
次に、今後の取り組みの方向性についてです。今回の会議の中であげられた行政も含めた関係機関との連携と情報共有の強化、切れ目のない継続した支援等の課題や、男女共同参画推進計画(アゼリアプラン)へ盛り込む内容などについて、実務者会議などで検討を進めていく考えです。
(2)居場所づくりなど具体的取り組みについて
2つめに、居場所づくりなど具合的取り組みについてうかがいます。
私は先日、日本精神神経科診療所協会が主催した「子どものこころの健康を考えるシンポジウム」を聴講しました。その動機は、私自身が若年女性によるオーバードーズや依存症などの相談を頂くようになったためです。
同協会が2年ごとに行っている、クリニックをのぞいた精神病床をもつ1525施設への薬物依存の悉皆調査の結果、10代の市販薬物依存が倍増しており、その89%は女性とのこと。社会的背景には、ドラッグストアの急増や利益をねらう売人の存在とあわせ、若年女性がストレスやトラウマなど生きづらさを抱え、その苦痛を緩和するために使っているのではないかと分析していました。
そして、臨床や支援現場の関係者が強調していたのは、依存物を絶対ダメ!とストップをかけても心を閉ざすだけであり、相談につながる前段階として、感情を言葉でも表出できる関係性、雑談で気軽に会話できる人とのつながり、楽しさを共有できる体験、横並びで安心できるウエルビーイングを伸ばしていく、そうした関係性を、5年10年と腹をくくってつくっていく重要性が語られていました。
私はお話をうかがい、若年女性が抱えている悩みは生死にかかわる深刻なものであっても、かかわりの入り口は、よりフラットで気軽に、日常的に自然なつながりをつくることが大切だと感じました。そこで、
北区でも民間法人と連携し、スペースゆう等も活用して、若年女性や施設退所者も含め、気軽に立ち寄れるカフェや居場所づくり、こころとからだのユース相談保健室、一時的に滞在できる場の確保など検討し、取り組むよう求めます。
【答弁】
北区では「こころと生き方・DV相談」を実施しており、相談者の希望に応じて、電話、対面及びLINE など様々な方法で相談を受け付けています。
スペースゆうでは、きめ細かく対面で相談を伺う相談室をはじめ、相談者が相談の前後に気軽に利用できるスペースとして、関連図書コーナーや喫茶コーナーを併設するなど、一時的な居場所を確保しております。
なお、DV相談に関しては、グループカウンセリングを行える場についても提供しております。
区では、引き続きスペースゆうに相談にいらっしゃった方をはじめ、気軽に一時的な滞在ができる場を確保してまいります。
(3)民間団体の相談会への支援を
女性相談の最後の質問は、民間が主催する相談会への支援についてです。
私は先月、板橋区立グリーンホールで開催された、「女性による女性のための相談会」に、ボランティアとして参加しました。この相談会は様々な困難を抱えている女性が、安心して気軽に相談できる場をつくろうと民間支援団体や弁護士会、労働弁護団などが実行委員会をつくり、年に数回、実施されている相談会です。
先月の相談会では、猛暑の中にもかかわらず、20代~50代まで幅広い世代の女性達が118名訪れ、生活の不安、仕事の悩み、子育てや介護、療養、家族や家庭での困りごとなどの相談、食品・生理用品・衣類などフードバンクで寄せられたマルシェの利用、カフェでゆっくりするなどして過ごされました。
参加された方からは、「誰に相談していいかわからなかった」「話を聞いてもらって気持ちが楽になった」「具体的な対応が聞けて良かった」「また利用したい」などの声が寄せられました。
この相談会は、ボランティアで参加する側も、一人ひとりの女性におきている悩みは個人的な問題のみならず、社会の構造的な問題でもあり、自分事として考え、支援する人、される人ではなく、仲間という対等な関係で接することを大切にし、エールを送りあうところがとても素晴らしい点だと感じています。また、必要な場合は行政窓口を案内する等、アフターフォローも行っています。
このように継続されてきた相談会の実績をみて、近年は東京都や先月の開催地の板橋区も、後援という形で支援するようになりました。
次回の相談会開催は12月中旬に、北とぴあを会場に実施される予定とのこと。年末の開催でもあり、困難を抱える女性の方が一人でも多く、相談につながり、安心して年が越せるよう、ぜひ北区でも「女性相談会」の支援を検討して頂くよう求めます。
【答弁】
区では、民間団体等から後援等の申請が出された際は、特に問題ないものと認めるものについては、東京都北区後援名義等使用承認事務取扱基準に基づき、後援等を承認しております。
そして、チラシやポスター等への後援名義等の記載や、承認団体からの要望に応じて、北区ニュースへの掲載など、側面からの支援を行います。
今後も、民間団体の取組みについては、案件ごとに、相応しい対応に努めてまいります。
区の答弁を受け私は再質問の中で、区内民間団体・法人との支援調整会議の実施など、いよいよ動き出したことを歓迎し、課題を共有しながら、まずは日常から気軽に立ち寄れ、相談にもつながる「居場所」をスペースゆうなど活用して、モデル実施を始めてほしい旨、重ねて要請しました。自分のライフワークとしても引き続き、取り組んでいきたいと思います。
