2026.01.16
こどもアドボカシーを学ぶ
「子どもアドボカシ―専門講座」の受講が終了。
約2ヵ月、他地域や他職種の方々と共に、国・自治体で検討されているアドボケイトの役割、一時保護所や児童相談所における子どもたちとアドボカシー、社会的養護を必要とする子どもの心の理解、アドボカシーに関わる法律や制度の理解、里親制度と子どもアドボカシー、社会的養護を必要とする障害児のアドボカシーなど講座を受講し、グループディスカッションなどで交流し、とても貴重な学びの時間を得ることができました。(以下、学んだことをまとめたレポートの要旨)
●子どもにとってアドボカシーがいかに重要か。
子ども時代にもっとも必要なことは「リレーショナルヘルス」声を聴かれる関係性ということ。それは、安全で安定したあたたかい関係性と環境の中で、子どもが成長・発達をとげる土台であり、自分と他者の境界を認識することにもつながる。
そのため、アタッチメント形成不全や逆境体験が増すと、自己否定感や希死念慮など何十年にもわたり影響が続いてしまう。
一方で、子ども時代には、家族や家族以外の大人、学校や友達との関係など、自分が支えられ励まされるポジティブな体験もある。
問題に見えるような行動の裏にある傷つきやトラウマを理解し、生きるための反応に敬意を払い、子どもがより多くのポジティブな体験を積み重ねることが、子どものウエルビーングに繋がっていくことを知り、とりわけ社会的養護が必要な子どものアドボケイトは、とても重要な役割であると思いました。
●子どもの権利を具現化するための法的根拠や児童相談所、一時保護所などでの事業内容については以下に理解を深めることができた。
2022年、こども基本法の施行や児童福祉法改正で、児童相談所での子どもの意見聴取等措置や、独立型アドボカシーとしての意見表明等支援事業が明記されました。
児童相談所では子どもの意見表明や最善の利益を保障するため、スタートアップマニュアルに基づき、子どもへの説明、子どもからの意見聴取、記録作成、聴取した意見や意向の考慮、反映の検討、子どもへのフィードバックを行います。
しかし、子どもは自分の気持ちや意見を第3者に話すことは容易ではなく、大人を信じていない、自分の気持ちや考えを聴きとられた経験がないなど、子どもが本当はどう思い何を感じ、どう考えているか。その思い考えを形成することにかかわり、子どもの声をよく聴いて、その表出を助けることが、意見表明等支援事業、アドボケイトの役割となる。
児童相談所は子どもにかかわる措置決定の権限があり、意見聴取等措置が十分に行われたとしても、子どもとの関係では、地位関係性がフラットとなりがたいため、あくまで子どもの側にたつ第3者の子どもアドボケイトの存在・役割はとても大切であると感じた。
東京都中野区の児童相談所では、子どもの措置、方針を決めていく会議に子どもの声を反映し、決定のプロセスに当事者である子ども自身がかかわれるよう、子どもアドボケイトがかわりながら意見表出を支援し、手紙や動画、直接参加に取り組み始めたと聞きました。
一時保護所では、子ども自身の不安、通学や通信などの制限、集団生活のルール、これからどうなっていくのかなど、日常から離れた環境や人と接する中、不安定な状態にある時に、こどもがどんな気持ちでいるのか、その思いを受けとめ、どんな生活がしたいのか、家に帰りたいのか帰りたくないのか、
施設や里親の希望など援助方針についても子ども自身の気持ちや考えが反映されるよう、子どもの声を聞きとり伝えるアドボケイトの役割は重要だと感じました。
和歌山県では、子ども1人1人に担当の「私のアドボケイト」が配置されていてすばらしいと思う。
北区でも、アドボカシーについての研修を実施し理解を深め、法人委託による独立性、専門性、市民性が担保された「独立型アドボケイト」の配置がすすむよう取り組みたい。
●児童福祉施設の理解とアドボカシーについて、2021年、ケアリーバーの初の全国調査で、案内できたのは約3割。回答を得られたのは4割、ケアリーバー全体ではわずか14%という数字から、退所後の若者の厳しさ、困難性を想像しました。
退所後も地域の中で信頼できる人のつながりをつくることが大きな課題だと感じ、それは、自治体の子ども家庭支援センターや民生・児童委員、児童館、保育園、学校などとの連携はもちろん、北区でも今後、子どもの居場所支援事業や若者サポートの取り組みを公民連携で実施していきたい。
●社会的養護を必要とする障害のある子どもについて、その割合は、児童養護施設が約4割、里親では約25%、ファミリーホームでは約半数を占めるということをお聞きし、北区立児童相談所(一時保護所を含む)や子ども家庭支援センターが、児童発達支援センター、教育総合相談センターとの連携で、子どもの理解や子どもにとって、より良い対応を行う基盤になればと感じました。
また、障害のある子どもが職員や里親、子ども同士などから虐待やいじめを受けた時に、子どものいのちや安全の確保、人権擁護の立場で、障害児の意見表明を支援する独立型のアドボケイトの役割はとりわけ重要だと感じ、その実践として遊びや外出、地域での他者との出会いなどを通じて、子どもの表情や嗜好を理解し、信頼関係を構築しながら支援することが大切だと学ぶことができた。
障害者権利条約でうたわれている、障害があることを理由に、学びの場や生活の場を分けることなく、地域の中で共に学び、共に生きるインクルーシブな地域社会をつくっていくことが、どこで誰と暮らすのか自己決定権を保障することであり、障害児アドボカシーの取り組みは、障害があっても生きる選択肢が大きく拡がっていく土台であると学びました。


