あらたな戦前に抗するー小さな幸せを支える尊厳がおびやかされない社会をめざしてー

第68回日本母親大会が、今日から山口県で開催され、ZOOMで記念講演を視聴しました。

あらたな戦前に抗するー小さな幸せを支える尊厳をおびやかされない社会をめざしてーと題し、

室蘭工業大学大学院教授 清末愛砂さんがお話されました。(以下、要点のまとめ)

清末さんは、憲法学者として、23年間、パレスチナに関わってきた。

それは、日本国憲法前文にある「われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とうたっていることー恐怖と欠乏とともにあるパレスチナの人々への人権侵害を知り、パレスチナの抵抗運動(インティファーダ)に参加したい。共に行動したいと考えたから。

パレスチナに入り、出張アトリエ(子どもの絵画教室)を行い、傷ついている子どものストレスを軽減することに取り組んできた。昨年2022年8月も、ガザ南部のラファ―難民キャンプで、出張アトリエを行い、今月11月13日から22日までパレスチナに行く予定だったが、7日以降の状況で行けなくなった。

今、ガザはイスラエル軍の激しい攻撃によって、安全なところはどこにもない。

パレスチナに行けるようになったらすぐに飛んでいきたい。パレスチナと一緒に生きたい。存在を否定することを許さないーと、冒頭、ガザに強く思いを寄せ、心境を語りました。

屋外監獄と言われる パレスチナ、ガザの状況について

ガザの人たちは、16年間イスラエルによって封鎖され、事実上の支配下、占領下におかれ、その状態はフェンスと壁に囲まれた屋外監獄と言われている。ガザの人たちにとって小さな幸せー安心して眠れる。御飯が食べられる。仕事ができる。人々の生活を根底から支えることを、手にすることがどれだけ大変なことか。

ガザに外から入ることも簡単なことではなく、イスラエル軍の許可をえないと入れない。清末さんは、憲法学者としてガザに入ること、小さな穴を開け広げていくことが、封鎖と黙認への挑戦、抵抗していきたいと考え、行動してきた。

人災としての「死」が身近に

ガザは人災としての「死」が身近にある。16年におよぶ封鎖の中で、5回の大きな軍事攻撃、空爆を受けてきた。1回目、2008~2009年。3週間で1400人が殺された(うち子ども達が300人以上含まれる)

2回目、2012年。3回目、2014年。4回目、2021年。

ガザは、365k㎡に220万人が住み、その7割は難民。パレスチナ人が故郷を追われ、難民化してできた町。封鎖されているので、水、燃料、食料が足りない。経済がなりたたず、若者の失業は70%、

軍事攻撃はむきだしの暴力だが、空爆がなくなったとしても、封鎖が解除されなければ状況は改善されない。

ジェノサイド(集団殺害犯罪)的な状況に

そして5回目、2023年。40日間で14000人以上が殺されている。緩慢な窒息作戦から、急速な窒息作戦になってきている。

イスラエルは無差別攻撃の中で、とりわけライフラインである病院や学校を攻撃。破壊的な攻撃により、生活が不可能になっている。

ジェノサイドとは、構成員を殺害するだけでなく、身体的、精神的、社会的にも生きていけない状況にしていく。その集団自体を破壊する意図をもって行うこと。人道に対する罪であり、戦争犯罪。国際社会の批判も無視して行われている。

イスラエルの自衛権と言えるのか?!

イスラエルは、こうした攻撃を「自衛権」の名のもとに行い、アメリカや日本政府も認めているが、

自衛権とは国家間で生じることであり、パレスチナはそもそも占領下におかれている地区、圧倒的な力の差がある下で、自衛権といえるのか。

パレスチナの人々

封鎖下であっても、自分たちの文化を大切にし、パレスチナ人であり、人間であろうとする。

「生きる」とは、「希望」と「尊厳」がともに備わっている。そして「自由」であるということ。

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