介護保険制度の動向と第9期介護保険事業

1月29日、地方議会議員政策セミナーに参加し「介護保険制度の動向と自治体における第9期介護保険事業」について、大阪社会保障推進協議会の日下部雅喜さんの講義を聴講しました。以下、要旨です。

1、はじめに、国の介護保険改定の動向については、

利用料の実質2割負担化は、昨年12月20日の大臣折衝において、第9期の実施は見送られ、次期計画に向けて結論を得るとして第10期へ先送りとなりました。

年金280万円の場合で2割負担となれば、デイサービスの利用料が仮に3万円なら、6万円にもなり到底払える金額ではなく、サービスが継続できるエビデンスが示せなかったことや、物価高騰、裏金問題など、世論と運動の成果ではないか!

2、介護保険料については、

介護保険にかかる費用のうち23%を第1号被験者(65歳以上高齢者)が受け持つ制度設計となっており、介護サービス量が増えていることに連動して、保険料はどんどん値上がりし、当初3000円台から、ついに6000円台と2倍になっている。年金は実質3万円も下がっている中、年金天引きとなる介護保険料はとても重い負担である。

また、介護認定を受け介護サービスを利用している人は約2割弱であり、8割の人は保険料を払うだけでサービスを使わない人が圧倒的多数という点が、医療保険との違いでもある。

国は、低所得世帯の保険料負担を軽減しようと、消費税10%に引き上げた際、1400億円(国は2分の1の700億円)を保険料軽減にあてる改定を行ったが、時期に向けては、10段階から13段階まで保険料段階を増やし、高額所得層の保険料を値上げして、その分、国が出していた低所得者への負担分を軽減しようとしているのは看過できない。

1期3年間を通じて、介護保険計画を実行していく単位で、介護保険料は決まるものだが、3年たって準備基金が余ったとなれば、それは3年間の介護保険料が高かったということである。国に対し、国庫負担の引き上げを要請することと並行して、残っている基金を積極的に活用し、保険料値上げを抑えるべきである。

3、総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)については、

要支援1・2の介護サービスを自治体の総合事業として抑制した(6%の伸びを3%へ)結果、2019年度だけで1000億円以上の削減となったが、介護報酬の低下にもなり、事業所の運営難、ヘルパーの不足に拍車がかかり、危機的な状況となっている。

受け皿づくりとして、地域助け合いの多様なサービスが自治体ごとに事業化されているが、現実は担い手にはなりえず、従来相当サービスとして、介護事業所が中心に要支援のサービスを担っているのが現状。

総合事業を要介護者へも拡大することも国は最重要課題としているが、介護の質や生活のクオリティを保つことはできないことは現状でも明らかであり実施させてはならない。

むしろ、要支援者の在宅ケアを支えるホームヘルプサービス、デイサービスを拡充こそ必要。介護ヘルパーの不足は深刻で、有効求人倍率も15.5!となっている。それなのに、介護報酬改定では、訪問介護、夜間訪問、定期巡回介護、訪問リハがどれもマイナス改定になったことは、あまりにも理不尽である。介護報酬削減の撤回を強く求めていこう。

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