虐待・DV被害者支援を考える

  昨年11月に野田市でおきた虐待死事件。助けられた命ではなかったか?と、その後も検証がすすんでいる。コロナ禍、スティホームが呼びかけられている中、いっそう子どもの命を守るアンテナを高くする必要がある。誰か一人でも「助けて」といえる関係を、地域で作っていけるようにしたいと、NPO法人子育てネットワークゆっくっくがオンライン学習会を開催し、私も受講しました。

 その中で、女性の視点から、DV、虐待を考え、対応や問題提起を続けている「エープラス」代表の吉祥さんのお話がとても印象に残りました。

「そもそも、DVや虐待の支援でゴールはどこにあるのか?相談された時、DV防止法にのっとった支援がなされているが、その内容は、保護したり、離婚する方向での対応がメインである」

「しかしながら、結婚している女性の3人に1人は、DVを受けた経験があるが、その中の12.6%しか別れていない。残りの80%以上は、別れたくても別れられない。別れようと思っていない。」という実態がある。

 「逃げる。別れるとの前提で相談にのると、苦痛を与えたり、2次被害にもなる。その人がどうしたいのかを中心に対応することが必要だ」と。

 また「DV家庭の子ども達と接していて感じるのは、親同士がいがみあい、怒鳴りあう緊張感の中、リラックスできないで育っている。家の中が安心・安全でない。暴言や暴力が直接なくても、この状態そのものが、子どもにとっては虐待であり、子どものひきこもりの背景にDVがあることも」

 そのため、「女性だけ、子どもだけの支援ではなりたたない。家族丸ごと機能するにはどうしたらいいのか?と考えていくことが必要である」と。

 DVや虐待の加害者は、相手を自分の思い通りにしたい。従わせるために力を示し、支配することが目的。力を持ったものが、弱いものをいじめる構図。関係性が支配する、支配されるというものになっている。

こうした状況の中で、具体的な関係性への支援をどう進めていくか。一番大事なのは被害者支援である。

 安心していられる、安全な場所を確保する。そのひつとに、シェルターという場所もあるが、例えば、毎週1回でもリラックスして話ができる時間を確保する。自分におこっていることを、そうだねと聞いてもらえる。落ち着いてきたら、情報を得ることができ、被害者の側に、自分も権利があるのだということを知らせ、女性自身がどうしたいのか、自分で考え、選択することができるような支援が必要である。

 加害者更生については、日本社会は強いものに弱腰。それどころか、ヨイショしてしまう。妻や子どもに暴力することは絶対にやってはいけないこと。ダメなものはダメと伝える。そうでないと、人を力でコントロールすることを成功体験として学び改まらない。今年度から、国もようやく加害者更生プログラムに予算をつけたので、実践をすすめたい。

 子どもにとっても、親、家族以外の場所で、安心して過ごせる居場所や人との関係を築くことがとても重要だと。

 関係性の改善・支援、教育の必要性について、現場の相談を積み重ねてこられた貴重なお話に、強く共感しました。北区の取り組みにもいかしていきたい。

 

 

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