北区議会主催のハラスメント研修受講

 2月1日、北区議会本会議場で、区議会議員を対象に、「気づきへの誘い(いざない)」と題した「議会ハラスメント」研修が実施されました。講師は、東京都人権啓発センターの和田正幸さん。

 冒頭、和田氏は「本人は他人の人権を侵害していることに気がついていないことがままある。気がつくことが大事である」と。

 東京都「みんなの人権」から、主な人権課題であげられているのは、女性・こども・高齢者・障害者・同和問題・アイヌの人々・外国人・HIV感染者、、、であり、弱者や少数者の問題が色濃くある。強者と弱者、多数者と少数者の関係で、そこに共通しているものは、強者や多数者の側にいる人は、気がつきにくくなっているのでは?と課題を提起されました。

 例えばと、女性や障がい者の例をあげて、日本の現状を解説。就業者の中における女性管理職が占める割合の国際比較では、欧米諸国が総じて3~4割に対し、日本はわずか13%(令和3年版男女共同参画白書)や、

 6歳未満の子どもを持つ夫婦の家事・育児関連時間の国際比較では、欧米の夫は8時間のうち、3時間前後を費やしているのに対し、日本の夫はわずか1時間余(逆に日本の妻は7時間半と大半を担っている)(令和元年同白書)であることも紹介されました。

 続いて、ハラスメントの内容について、パワハラについては、2020年6月から法律が改正され、防止義務が事業主の義務になったこと(中小企業は2022年4月から)、今やパワハラは民事上の労働相談の中で、9年連続、解雇を抜いて連続トップで増え続け、令和2年は全体の2割を占めること。

 セクハラについては、職場において行われる性的言動により、労働者の就業環境が害されるものであるが、受ける側の個人の感じ方が大事であり、拒否されなければいいということではなく、先輩や上司にNOと言えない関係があることを考え対応する必要がある。

 マタハラ(マタニティハラスメント)について、妊娠・出産にかかわり、女性は家庭を優先すべきとの性別役割分担意識や、職場で横行している長時間労働(男性中心の働き方)を押しつけになっていないか?などの問いかけられました。

 そして、議会におけるハラスメントについて、

 パワハラについては、古参から若手議員に対して、議員から職員に対して、セクハラについては、女性議員に対しておこりやすく、令和3年に内閣府が実施した地方議員へのアンケート調査でも、ハラスメントを受けたと答えた議員は男性32%、に対し、女性議員は52%との結果や、議会に中におけるセクハラヤジ(女の分際で生意気な質問するな。きつい質問して可愛くない女だな。女の子なんだからおしとやかにね「女らしさ」という固定観念。家事はどうなっているの。ちゃんと子育てしたら「性別役割分担」意識)を紹介。

 議会は、企業のような労使関係もなく、男女雇用機会均等法の適用対象外であるが、「議会の品位」地方自治法132条や、政治倫理条例、ハラスメント防止条例などの規範を適用、制定していくことが重要と指摘されました。

 ハラスメントのまとめとして、1、痛いのは受けての側。2、決めるのは相手方であり、加害者は「そんな心算はなかった」と弁明するが、受けた側の感じ方の問題である。

 防止のためには、人権感覚を磨く(無関心を改める。多文化共生、生物多様性など、異なることへの意識を拡げること、人それぞれ個性があっていい。フェアプレイと思いやりの精神で、自分の身におきたらどうなのか?想像する)ことの重要性を呼びかけられました。

 研修を受講し、改めて議会・議員として、議員同士、職員や住民に対して、率先して、人権を守り、ハラスメントをなくしていく立場で考え、行動しなければならないと痛感しました。

 地方議会のアンケート調査では、ハラスメントをなくす有効な取り組みとして、1、議員向け研修(63%)2、ハラスメント防止のための倫理規定の整備(60%)3、相談窓口の設置(55%)4、ハラスメントを行った万尾への処分の規定の整備(55%)5、調査機関の設置(54%)などが示されています。

 本日の研修会は、大変有意義であり、これを第1歩として、更なる環境整備をすすめていきたいと感じました。

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