2019.08.18
避妊についての現状と課題
日本の避妊についての現状と課題について学んできました。講師は、「#なんでないのプロジェクト」の福田和子さん。スエーデンに留学し、避妊などにかかわる日本との違いを実感し、研究を続け、発信されている方です。
お話を伺って、日本の女性は、性においても、自分の身体を守ることが主体的にできていない。性的自己決定権が保障されていないという現実を知りました。性をポジティブにとらえるためには、安心や安全が保障されていることが大切です。多くの女性が少なからず、不安や心配、悩みを抱え続けている現実を変えていきたいと感じました。
そのためには、包括的性教育の充実、女性が主体的に選択できる避妊方法が増え、情報の取得やアクセスが容易となること、国や自治体の政治、行政においても、そうした制度や予算が確保される必要があるのではないか。
それは、男性も含めて、ひとりひとりが自分の身体とこころの主体となれる。自身の人生や愛する人の人生にも責任が持てる自由を獲得することではないかと感じました。以下、講演の概要を紹介します。
今、日本で認可されている避妊方法は、コンドーム、ピル、IUD(IUS)の大方3種類。その中で、コンドームでの避妊が9割以上を占めている。
しかし海外では、上記の他に女性主体の方法がいろいろある。例えば、避妊注射(約3ヶ月の効果)、避妊インプラント(内側の腕にうめこみ、ホルモンにより3年の効果)、避妊リング(自分で挿入可能、約3週間の効果)、避妊シール(肩やお腹など見えないところに貼る、約1週間の効果)等が認可されている。
日本は、避妊方法の9割以上がコンドームだが、他の国では7~8割が女性主体の避妊方法。スウェーデンでは若い人は無料で診察してもらえ、無料で避妊具をもらえる環境にある。
日本では1日に460人、妊娠した人の6人に1人が中絶されている。中絶方法も、日本では掻爬方式しかなく、10万~20万と高負担。性教育は不充分で、2015年から2016年までに2098人の高校生が妊娠し、自主退学が642人、3分の1が退学をしている。
低用量ピルの認可にも日本は39年もかかった。一方、バイアグラは6ヶ月という異例の早さで認可。日本が便利で負担の少なく、効果も高い避妊方法が認可されないのは、情報が知らされていない、ピルが普及されていない、製薬会社もニーズがないから製造を認可させようとしていないという複数の状況があるのではないか。