健康保険証の存続を求める意見書提出の陳情、区民生活委員会での陳情審査はいずれも過半数に達せず「継続審査」に

 9月15日、区民生活委員会にて、健康保険証に関わる2件の陳情審査が行われました。

1つは「健康保険証の存続を求める意見書提出に関する件」(東京保険医協会北支部が提出)「現行の健康保険証を存続するよう国に意見書の提出を求める件」(東京歯科保険医協会が提出)です。

内容が同趣旨のため一括して、以下、委員会審査となりました。(各会派委員の質疑要旨と答弁、態度は以下のとおり)

 自民、政府が進めているマイナ保険証、医療機関では顔認証によるカードリーダーシステムの設置もすすんでいる。一方、ひもづけの誤りもあり、自治体での総点検が推進されている。8月に首相が会見を行い、マイナンバー保険証を持たない人にも、資格確認証を申請不要で5年間使えるとした。患者も、医療情報が共有でき、より良い医療が推進できるので「不採択」

 公明、マイナ保険証のメリットについて区に確認。(診療報酬、薬剤情報を閲覧できる。医師が医療履歴を確認できる)全国の診療情報を共有でき、適切な医療を受けられる新しいしくみの基盤となるものだが、不安の払拭は大事。8月4日の方針にそいメリットの周知を「不採択」

 共産、北区でのマイナ保険証を登録した人は、7月現在、国保で27367人。後期高齢で17770人。マイナンバーカードについては、24万人を超えたとことで、8月末で約68%となっている(区より説明)

 私、山崎たい子委員は、「新しい国民健康保険証が先日、郵送で届いた。10月から2年間の有効期間ある。政府は来年秋、現行保険証を廃止するとしているが資格確認証との関係は?」「障害者医療や難病者医療、子ども医療など、対象に応じて医療費負担が違っている場合の対応は?」「救急車で運ばれるなど、本人確認により保険証の確認がとれない場合は?」など質問。区からは「まだ国から示されていない」との答弁が繰り返されました。

 また「マイナンバーカードを返納した区民(現在38件あり)に対する保険証の対応は?」に対し、「いったん紐づけされたものは、返納されても解除することはできないとデジタル庁から聞いている。庁内の連携を確実にとり、ご本人へは資格確認証をもれなく送付できるようにする」と答弁。

 私は「一度紐づけしてしまったら、仮にマイナンバーカードを返納しても解除できないことの区民周知がはかられているのか?」との質問に、区は「周知はされていない」と答弁。

 私は「そうしたやり方そのものも釈然としない。また、仮に本体システムに不具合がなかったとしても、顔認証のカードリーダー機器の故障や不具合が生じる場合もあるのでは。今は紙の保険証を持参しながらフォローされているが、廃止以降は医療現場の混乱は必至ではないか」「この間の質疑の中でも、国から示されていないことが多すぎる状態。また8月の首相の方針で、資格確認証の発行を申請なしで発送することも当面とされている。区民が安心して医療が受けられる国民皆保険の保障が担保されていない。陳情者の健康保険証を被保険者に届けるのは、国・保険者の責務であり、申請が必要なマイナ保険証と資格確認書におきかえるのは責任放棄。国民皆保険制度の破壊との指摘に強く共感する」とし「採択」

 立憲民主、デジタル化をすすめていくのは時代の流れではあるが、国から多くのことが示されていない。行政も区民の不安も払拭できていない。健康保険証の廃止を延期して、不安を払拭してからデジタル化をすすめるべき。「主旨採択」

 都民ファースト、医療DXの入口であり、健康保険証を存続することは賛成しかねるが、健康保険証を廃止することでマイナ保険証に一本化されることに。代替手段としての同等のものが今の段階で整っていない。「継続」

態度表明の結果、不採択3(自民・公明)、採択2(共産)、主旨採択1(立民)、継続1(都民ファ)と、いずれも委員会の過半数(4)に達しず、陳情の委員会審査結果は「継続審査」になりました。 

これ以前の記事を見る