2026.07.12
多文化共生の歴史とまちのあり方を考える
7月12日(日)、自治体学校in大阪の2日目は「多文化共生の歴史とまちのあり方を考える」現地分科会に参加しました。
「鶴橋駅」至近の集合場所から、大阪経済大学の柏原准教授にご案内頂き、多文化共生のまちづくり拠点「いくのコーライズパーク」(略称;いくのパーク)まで、鶴橋商店街(戦後の名残が残る古い歴史を感じる商店街)や大阪コリアタウン(大阪市の3大観光地の1つ)を汗だくになりながら移動。
いくのパークでは、NPO法人IKUNO・多文化ふらっと理事・事務局長の宋(ソン)さんや事務局のキムさんからレクチャーを頂きました。
大阪市生野区は、歴史的には済州島出身の方が多いとのこと。命からがら避難してきた人達が日本社会の中で貧困や差別などの困難をくぐりながら生活を重ね、今では在日3世、4世の時代となっています。


済州島の守り神(トンバルジャン)が公園に設置されていました。
現在では、約80か国の外国ルーツの人々が暮らす多国籍、多文化のまちとなり、ニューカマーの方々へコリアンの人達が自ら経験もいかしながら支援も行っています。
少子高齢化や行政方針の下で、12校あった小学校が4カ所に統合され、2020年、全校児童が70人となった御幸森小学校(ユネスコの国際的な認証を受けた国際理解教育校だった)が、2022年、廃校第1号となりました。
跡地の活用として、住民たちがNPO法人をつくり「多文化共生のまちづくり」拠点をつくろうと、プロポーザルを経て、校舎等建物は定期賃貸借契約で賃料を支払い(月43万円余)、自主事業として、2023年「いくのパーク」をオープン(事務局スタッフは非常勤を含め15名、有償・無償ボランティア登録380名)しました。

まちに開放的な居場所にしたいと屋外テラスも設置されました。
主な事業の1つ、学習サポート教室DO-YA(学習支援活動)について
日本語や教科の学習が必要な小・中高生に対し、安心して学び続けられる居場所を提供し、2024年度は受講生が168名(小81名、中高91名、その他若者4名)で、年間受講者数は5300人を超えました。
子ども達は、自分の意志ではなく日本にきており「何でここにいるのか」「学校に行ってもわからない」という思いでいる。そうした子どもの気持ちに寄り添ってマンツーマンで学習支援(小中学生は無料、大阪市から補助有、高校生は月5000円)を行っています。
学校における日本語教育・日本語指導を充実するのは大前提であるが、学校現場の大変さも現実であり、地域の教育的資源をどうつなげることができるか。こぼれているこどもを行政と連携してフォローする公的サービスの事業化も検討していきたいとのこと。

学習サポートDO-YAにて(昔は音楽室だった)
学習支援活動の大人が守るべき基本ルールは、こどもが「自分のことは自分で決める」学び続ける力を信じる。認め、認められる場をつくること。(信頼ができてくると、こどもは自分のことを雑談のなかでボソボソと話しだす子も)
学習支援を通じて、学校生活(日本文化や学校文化への適応、周りとの関係づくり、差別、いじめ、偏見、孤立)や、家庭環境(家族との意思疎通、親の就労の不安定、貧困、ネグレクト、ヤングケアラー)、社会的制度(限られた日本語教室、進路選択の制限)の様々な課題が見えてきました。
そこで、いくのパークでは、ベトナム語や中国語など多言語相談事業や、外国につながる若者のための大学等への進学ガイダンス(生野区役所が協力、大阪府・大阪市教育委員会が後援し、関西地域の12校が参加校となり、保護者や子ども計125名参加)
外国ルーツ高校生と多言語絵本の読み聞かせ(地域の保育園とネットワークし、10か国語で実施、参加者約400名)や、国立国際美術館への体験活動、日帰りキャンプ、いくの万国夜市(参加者4000人)にも取り組んでいます。

DO-YAに飾られていた絵
ふくろうの森(いくPAの図書館)は、まちに住む多様な親子、子ども達が、安心していられる図書室をつくりたいーと生まれました。
20言語、約1000冊の絵本を収集し、読み聞かせやワークショップなど、外国人住民の子育てや地域住民の憩いの場として利用されています。

以上のような実践を重ね、法人では「生野区多文化共生共創プロジェクト」として、令和7年度・8年度、実態をつかみ、121の事業を提言、課題を共有し、公民連携により共にチームとして多種多様な課題の解決に取り組んでいこうと議論しているとご紹介頂きました。
お話をうかがい、多文化共生を積み重ねてきた歴史の重みとネットワークの深さを感じるとともに、
人は誰でも、国籍や民族、障害の有無、セクシャリティの違いに関わらず、多様性が尊重され社会的包摂が保障される共生社会で暮らす権利ー基本的人権があること。
戦後、人権はマイノリティの不条理と苦難の中で勝ち取ってきたものであり、簡単に明け渡してはならないものであること。
日本にいる外国籍の人々は、働き税金も払い、地域社会の担い手しても、経済活性化や地域福祉、イノベーションの担い手としても経済成長を支え、今後も増加する見込みである。
日本語教育や生活支援プログラムだけでなく、多文化基本法、外国人権法などの法的整備や社会的包摂事業を考える時にきているのではないかと力強く提起され、共感しました。


美味しかった韓国弁当(^^)
